生きづらさをやさしさに変える くにい かつひろ

繊細すぎて苦しかったその生きづらさこそが、人を癒す力になったと感じてます。 くにいかつひろ

自殺予防の権威に会ってきました。


先週木曜日に、河西千秋先生という方の研修会に参加してきました。

河西先生は、日本うつ病学会自殺対策委員会委員長をしていて、国際自殺予防学会の日本代表の方です。

要するに、日本の自殺予防は、この人に聞け!という感じの人です。
日本の中で自殺に関する施策を検討していく上でも、かなり発言力がある方だと思ったので、若者の自殺を減らしたいと考えている、國井としては会わなくてはいけない人だと思い、鼻息荒く、前のめりになりながら、室蘭の会場に向かいました。

河西先生は今年から札幌医科大学に来たようで、それ以前は横浜市立大学にいたそうです。

先生がおこなっていた研究は非常におもしろく、実践的なもので、非常に効果が高いものでした。

ActionーJというプロジェクトで、
重篤な自殺未遂を起こして搬送された人に対して、ソーシャルワーカーがケースマネジメントの手法を用いて、その人のその後生活や医療面、心理的ケア面のマネジメントをおこなう、というものです。

ケースマネジメントとは、要するに生活の中での課題を解決していくために、病院や、カウンセリングなど、その人の生活を支えていく上での様々なサービスをコーディネートしていく手法です。コーディネートするだけでなく、その後も定期的に訪問して本人の状況を確認してましたくれて、親身になって相談に乗ってくれるので、精神的な支えになったりもします。

そのActionーJをおこなった群と、おこなわなかった群で、自殺未遂をまたおこなってしまった人の数を調べたところ、4分の1ほどになったそうです。

これは、かなりの高い効果を示していると思います。

かなりおもしろいと思ったのですが、なぜ、医療系の大学の先生が、ケースマネジメントに興味を持ったのか不思議でした。
ケースマネジメントとは、福祉の分野の手法です。
なので、先生になぜケースマネジメントが効果があると感じたのかを聞いてみました。

すると、先生が実際に自殺未遂者の支援を繰り返してきた中で、見えてきたのがケースマネジメントだった、ということです。

どういうことかというと、自殺未遂者を精神科の病院に繋げても、うつがあるという診断を受けて薬を処方されるだけで、それだけでは対して効果が上がらなかったというのです。

精神科は本人の精神的な情報を聞き取ってそれに対して薬を出すだけで、それだけでは本人を支えきれないというのです。

なるほど。

それなら、ケースマネジメントで定期的に見ていき、医者やカウンセラーとのマッチングも見ていけるし、生活の中での他の課題にも対応していける(就労面や金銭管理面など)ので、そちらの方が効果があるのもうなずけます。

研修後にも、名刺を交換しに行ったのですが、その時にも、「病院や、心理療法だけではダメです。ソーシャルワーカーが本当に必要です。」と言っていました。
ケースマネジメントの手法を武器にしているのが、ソーシャルワーカーです。

また、他にも質問してみました。

若者の自殺がなぜ減らないのか、それと、9月1日の自殺がなぜ多いのか、ということも聞いてみました。

すると、


「わからないというのが、正直なところです。」


とのこと。

先生の立場上のこともあり、エビデンス(科学的根拠)がない数字については言及できず、大変申し訳ないとのことでした。

これを聞いて、この先生は信頼できる、と感じました。

ですが、9月1日の自殺の根拠がないとなると、それは「国は動かない」ということです。

どんな調査をすれば根拠として出せるのかわかりませんが、それが出るまでは放置だし、出たとしても、いつになることやら・・・・です。

ということは、現場では、「おそらく、、、これだ!」という感じで、予測の元動き出すしかないということです。
そして、国のバックアップも期待はできない。

・・・やるしかないですね。


僕が変えるべきだと思っているのは、

『学校が絶対である』

という価値観です。

それを持っている大人の絶対数を減らす必要がある。

そして、子どもたちの中にも、学校が全てではなく、いろんな生き方がある、という感覚を育んでいきたい。

いろんな生き方があるという事例をガンガン教えていきたいですね。



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近くにある滝です。

水しぶきがすごいマイナスイオン